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鈴土 知明; 山口 正剛; 長谷川 晃*
Journal of Nuclear Materials, 467(Part 1), p.418 - 423, 2015/12
被引用回数:45 パーセンタイル:96.88(Materials Science, Multidisciplinary)タングステンは将来の核融合炉のプラズマ対向被覆材として期待されている。しかしながら、材料を硬化させる照射誘起析出の発生が実用化に向けて課題とされている。照射誘起析出現象の出現を精度良く予測するには、レニウムやオスミウム等の照射下で核変換反応より生成される溶質原子の運動を把握することが重要である。本論文では、我々はアトミックキネティックモンテカルロ法を用いてこれらの溶質原子の運動を計算機シミュレーションより解析した。なお、溶質原子はタングステンと混合ダンベルを作っていると仮定した。解析の結果、回転障壁エネルギーが低いためこれらの混合ダンベルは3次元運動になり、その障壁エネルギーが拡散係数に大きく影響することがわかった。また、それらの3次元運動は空孔等の球状の欠陥の運動のような単純な運動モデルに帰結することができないことがわかった。
内田 俊介; 塙 悟史; Lister, D. H.*
Power Plant Chemistry, 17(6), p.328 - 339, 2015/12
原子力発電プラントでは、放射線照射が構造材と水化学の相互作用に照射が作用するため、相互作用が火力プラントに比べてはるかに複雑となる。限られた数の水化学データに基づいて水化学を制御するだけでは、プラントの安全かつ信頼の高い運転を維持することは難しい。このため、測定された水化学データを必要な箇所での値に外挿し、構造材と水化学の相互作用の将来像を予測できる計算機モデルの適切な補助を受けて水化学を制御することが求められる。本論文では、プラントシミュレーションモデルにより決定されるパラメータに基づく水化学制御のプラントへの適用法についてまとめる。
情報システム管理課
JAERI-Review 2005-032, 151 Pages, 2005/08
日本原子力研究所計算科学技術推進センターでは、研究活動を支援するためにスーパーコンピュータをはじめとする大型計算機システムを導入し、所内における研究活動に役立たせるとともに、計算機システム及びネットワークシステムの運用管理を行っている。本報告書は、平成16年度における原研の大型計算機の利用実績を集計し、利用ユーザからの利用報告に基いた研究内容,利用及びその成果についてまとめたものである。
山田 進; 今村 俊幸*; 町田 昌彦; 荒川 忠一*
日本計算工学会論文集, 7, p.243 - 252, 2005/05
ほとんどすべての並列計算機では、データの通信にMPIライブラリを使用する。このMPIには通信処理と演算処理を同時に実行し、通信時間を隠蔽することができる通信命令が用意されている。しかしながら、実際に2つの処理が同時に実行できるかどうかは、計算機のハードウエアの機能やMPIの実装方法に依存しており、多くの計算機で同時に実行することが不可能である。そこで、本研究では共有分散メモリ型並列計算機のノード内並列機能とMPIを組合せて通信処理と演算処理を同時に行う方法を提案した。この方法は単純なプログラムの修正で実現できる。サンプルプログラムに提案方法を適用し、地球シミュレータ,日立SR8000,Compaq AlphaServer上で実行したところ、実際に通信と演算を同時に実行することが確認でき、最大で約1.8倍の高速化が実現できた。また、通信量の多い物理問題(ハミルトニアン行列の対角化)に適用し、地球シミュレータで実行したところ、約1.6倍の高速化が達成できた。
計算科学技術推進センター
JAERI-Review 2005-008, 199 Pages, 2005/03
原研計算科学技術推進センターでは、研究活動を推進するためにスーパーコンピュータをはじめとする大型計算機システムを導入し、所内における研究活動に役立たせてるとともに、計算機システム及びネットワークシステムの運用管理を行っている。本報告書は、原研の大型計算機システムを利用することにより得られた研究成果について調査を行い、その結果をまとめたものである。
Ye, F.*; 松田 雅昌; 片野 進; 吉澤 英樹*; Belanger, D. P.*; Seppl, E. T.*; Fernandez-Baca, J. A.*; Alava, M. J.*
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 272-276, p.1298 - 1299, 2004/05
被引用回数:8 パーセンタイル:40.98(Materials Science, Multidisciplinary)強磁場下の中性子散乱実験を行い、その散乱曲線からイジングスピン系のランダム磁場効果として、磁気クラスターによるフラクタル構造の証拠を得た。計算機シミュレーションを別途行った結果、実験との良い対応が得られた。
岡本 芳浩; 湊 和生
JAERI-Conf 2004-008, 228 Pages, 2004/04
溶融塩を利用した使用済み核燃料の乾式再処理技術の開発が、経済性の向上の期待のもと、調査・研究が幅広く行われている。一方、昨今の計算機技術の著しい進展に伴い、実験を補完し結果を予測する手段としての計算シミュレーションの役割に対する期待が大きくなってきている。溶融塩技術の中においても、シミュレーション技術が盛んに利用されている。このような背景のもと、原研物質科学研究部アクチノイド科学研究グループは、日本原子力学会再処理・リサイクル部会と共催で、2003年12月16日に原研東海研において、第3回「溶融塩技術と計算シミュレーション」ワークショップを開催した。本報告書は、その講演の要旨及び講演OHPをまとめたものである。
井戸村 泰宏; 足立 将晶*; 五來 一夫; 鈴木 喜雄; Wang, X.*
プラズマ・核融合学会誌, 79(2), p.172 - 187, 2003/02
これまで数値トカマク実験(NEXT)研究計画の下でさまざまな流体コード,粒子コード、あるいは、ハイブリッドコードが開発されてきた。これらのコードには高性能プロセッサー,高速ストレージシステム、及び、高速並列可視化システムから構成されるシミュレーション環境が必要とされる。本論文では、こういった観点から原研Origin3800システムの性能を検証した。性能評価においては、代表的な粒子コードと流体コードは512プロセッサーを用いた並列計算で%という実効性能が示された。I/OについてはStorage Area Network (SAN)による高速並列データ転送が実現している。並列可視化処理システムに関しては、以前のワークステーションに比べて飛躍的に高速な大規模データの可視化処理が可能になっている。このように原研Origin3800システムでは非常に先進的なシミュレーション環境が実現している。また、最近では遠隔ユーザの利便性を向上するためにストレージグリッドの開発を進めている。ストレージグリッドはSANと波長分割多重伝送装置(WDM)の組み合わせにより構成される。初期テストにより、ストレージグリッドでは従来のデータ転送手法と比較して飛躍的に高速なデータ転送(Gbps)が広域ネットワークを経由して可能であることが示された。
岡本 芳浩; 福島 和子*; 岩舘 泰彦*
Journal of Non-Crystalline Solids, 312(314), p.450 - 453, 2002/10
溶融臭化亜鉛の構造を、Zn及びBr双方のXAFSを測定することによって調べた。解析から、融体中で(ZnBr)四面体錯体が存在し、Brイオンを共有することで複数の四面体がネットワーク構造を作り上げている可能性があることを示唆する結果が得られた。これは溶融ZnClの構造に良く似ている。得られたXAFSデータを、分子動力学計算とその出力を使用したFEFF計算から再現した。XAFSデータを良好に再現するMD計算では、四面体錯体の存在やネットワーク構造の存在を示す結果が得られた。
白川 敏彦*; 畑中 耕一郎
JNC TN8400 2001-027, 131 Pages, 2001/11
不均質多孔質岩盤中の水理/核種移行解析における入出力データ、実行手順を基本マニュアルとして取りまとめることを目的として、既存の不均質透水係数場作成コードの理論的背景と3次元水理解析コード、核種移行経路抽出コード、1次元核種移行計算コードからなる水理/核種移行解析プログラムの使用方法について調査した。本報告書では、調査結果に基づいて不均質透水係数場の作成に関する地質統計学的背景を説明した。さらに、不均質透水係数場作成プログラムおよび水理/核種移行解析プログラムのファイル構成、入出力データ、実行方法、実際の計算例を記載した。以上のように既存の不均質透水係数場作成コードおよび水理/核種移行解析プログラムの理論的背景と使用方法についてまとめることにより、上記の計算プログラムによる解析方法を手順化することができた。また、本報告書でまとめられた情報を活用することにより、自由に不均質多孔質岩盤をモデル化して水理/核種移行解析をすることが可能になった。
大野 英雄; 小原 真司*; 梅咲 則正*; 鈴谷 賢太郎
Journal of Non-Crystalline Solids, 293-295, p.125 - 135, 2001/11
被引用回数:23 パーセンタイル:70.53(Materials Science, Ceramics)溶融塩並びにガラスなどランダム系物質の構造解析を、SPring-8放射光から発生する高エネルギーX線(37.8keV, 61.7keV)を用い行った。SPring-8における高エネルギーX線回析,JRR-3M及び米国アルゴンヌ国立研究所パルス中性子源IPNSを用いた中性子解析、並びに逆モンテカルロ法計算機シミュレーションを併用し、溶融塩並びに各種ガラス構造を総合的に解明したものである。
吉田 一雄; 横林 正雄; 田辺 文也; 川瀬 勝美*; 古宮 明敏*
JAERI-Data/Code 2001-023, 118 Pages, 2001/08
JACOSは、原子力発電所の異常時における運転員の認知行動と原子炉系の挙動が影響を及ぼし合ったマンマシンシステムの挙動を模擬する計算機シミュレーションシステムである。マンマシンシステムの評価に際して、運転員の認知行動とそれに影響を受けた原子炉系の挙動に関する詳細な情報の提供を目的とする。シミュレーションシステムは、動的に結合された運転員モデルと原子炉モデルから成る。前者では、AI手法の一つである「黒板」モデルに基づく分散協調推論手法を用いた。異常への対応のための認知行動は、Rasmussenの梯子モデルを参考にした。ルールベース行動は、If-Thenタイプルールの知識表現を用いてシミュレーションした。また、知識ベース行動を模擬するために機能的知識を多層流れモデル(Multilevel Flow Modeling)で表現し、それを定性理論で探索する方法を開発した。さらに、認知特性として短期記憶での容量の限界と減衰,注意の狭窄,知識の想起の特性をモデル化した。また、原子炉モデルは、詳細熱水力解析コードRELAP5/MOD2を核として開発した。本報告書は、JACOSのマニュアルとして、第1部には両モデルの説明,第2部には、プログラムのインストールの手順,運転員モデルの知識の作成方法,シミュレーションの実施手順,結果の分析方法,第3部ではシミュレーション実行例について記す。
萩原 一郎*; Li, W.*; 仲田 晋*; 山田 進
計算工学講演会論文集, 61(1), p.205 - 208, 2001/05
日本原子力研究所では並列計算機用数値計算ライブラリPARCEL(Parallel Computing Elements)を開発、提供している。PARCELは連立一次方程式,固有値問題,擬似一様乱数及び高速フーリエ変換(FFT)のルーチンで構成されている。PARCELは基本的に分散メモリ型スカラ並列計算機を前提として開発されたものであり、近年の大規模科学技術計算で利用されているベクトル並列計算機上での性能は十分でないことが考えられる。そこで、本研究ではPARCELの数値計算プログラムのうちFFTについて、使用する計算機のアーキテクチャの性能を十分に活用するための改善を行い、ベクトル並列計算機上で高速に計算するためのルーチンを開発した。また、ベクトル並列計算機VPP300及びSX-4を用いた性能評価から実際に高速化することを確認した。
村松 一弘; 今村 俊幸; 北端 秀行; 金子 勇; 武宮 博*; 長谷川 幸弘*; 山岸 信寛*; 平山 俊雄
計算工学講演会論文集, 6(1), p.241 - 244, 2001/05
インターネットなどのネットワークで接続された複数の計算機資源を高性能な仮想並列計算機とみなし、この広域分散計算機環境上で大規模な科学技術計算を実行しようという試みが考えられる。いわゆるメタコンピューティング実験である。筆者らはこの考えにもとづき、広域分散計算環境上に緊急時放射能放出源推定システムを実装して、その計算結果で実時間で可視化し、ユーザのPC上で表示するシステムを開発した。これにより、ユーザは放射能漏れ事故における放射能放出源計算の評価及び推定が短時間で可能になり、本システムの開発はリスク・マネージメントに対する貢献が大きいと考えられる。本論文では、このシステムの構成及びアメリカで開催されたSC2000における実験について報告する。
高梨 光博; 駒 義和; 青嶋 厚
JNC TN8400 2001-022, 60 Pages, 2001/03
TRUEXプロセスの数値シミュレーションコードを開発した。このコードを用いて、高レベル放射性物質研究施設(CPF)で行われた向流抽出試験におけるアメリシウムとユウロピウムの濃度プロファイルを計算した。計算の結果は実験結果とほぼ一致した。また、プルトニウム燃料センターで行われたTRUEX法を用いたAm回収試験の条件について検討し、スクラブ液中の酸濃度の低下および溶媒・逆抽出液量の低下により、逆抽出効率の向上および試験廃液の低減が可能となる条件を示した。試験条件を設定できるようにするために、計算対象成分にジルコニウム、モリブデンおよび鉄を追加し、これらの金属およびアメリシウムやユウロピウムとシュウ酸との錯体の抽出挙動に対する影響を計算コードに加えた。シュウ酸錯体の影響を考慮することにより、アメリシウムやユウロピウムなどの濃度プロファイルにおいても、水相濃度の計算値が、錯体の影響を考慮していない場合に比べて上昇した。CPFで行われた試験に対して、シュウ酸添加量とアメリシウム回収率の関係を計算により調べたところ、過去の試験で用いられたシュウ酸濃度が、処理溶液および洗浄溶液からともに0.03mol/Lであったのに対して、これをそれぞれ0.045および0.06mol/Lとしてもアメリシウムの回収率を十分高い値(99.9%以上)に維持できることが明らかになった。したがって、添加できるシュウ酸濃度には余裕があり、ジルコニウムなどの除染性をさらに高められる可能性があった。加えて、ユウロピウムを回収するプロセスフローシートにおけるシュウ酸濃度条件の設定を計算によりおこなった。
仲澤 隆; 菊地 寿樹; 安 和寿; 吉野 敏明; 足利谷 好信; 佐藤 浩一; 箕輪 雄資; 野村 俊文
JAERI-Tech 2001-010, 125 Pages, 2001/03
高温工学試験研究炉(HTTR)は、熱出力30MWの高温ガス試験研究炉として、1998年11月10日に初臨界に達し、現在、放射線監視システムを活用して出力上昇試験における放射線管理データの測定を行っているところである。本報告書は、出力上昇試験、定期自主検査などにおける放射線管理を実施するうえで役立つように関連するHTTRの施設の概要を含めてHTTR放射線監視システムの設計方針、放射線管理設備及び放射線管理計算機システム等についてまとめたものである。
宮園 敏光; 大野 修司; 中井 良大
JNC TN2400 2000-006, 56 Pages, 2000/12
高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい対策について設計の妥当性を確認する際の判断材料を得るため、ナトリウム燃焼解析コードASSCOPS version2.1を使用し、2次主冷却系設備に諸けるナトリウム漏えい時の建物や床ライナへの影響解析(ナトリウム燃焼解析)を実施した。本報告書は、ナトリウム燃焼解析で得られた雰囲気圧力、床ライナ温度及び水素濃度等をまとめたものである。主要な解析結果は以下のとおりである。(1)雰囲気圧力-圧力最高値約4.3kPa[gage]、(2)床ライナ温度-床ライナ最高温度約870度C, 床ライナ最大減肉量約2.6mm、(3)水素濃度-水素濃度最高値2%未満、(4)貯留室の床ライナ温度及び床コンクリート温度-床ライナ最高温度約400度C, 床コンクリート最高温度約140度C
古高 和禎
JNC TN8400 2000-028, 70 Pages, 2000/10
本報告は、著者が核燃料サイクル開発機構において、平成9年11月から平成12年10月までの期間に博士研究員として行った研究内容をまとめたものである。本報告は、二つの内容に分かれる。すなわち、一つは、熱中性子吸収断面積の測定の高度化に関する研究である。今一つは、HHS検出器を用いた光核反応断面積の微細構造測定の高度化に関する研究である。1)放射化法を用いた線測定による熱中性子吸収断面積測定において、得られる結果の精度に影響を及ぼす主な要因には、線収量の統計精度の他に(1)線ピーク検出効率の校正精度、及び(2)線放出率の精度があげられる。本研究では、高速三次元同時計測システムを作成することにより、(1)線ピーク検出効率を精密に校正するための、-同時計測法を用いた標準線源放射能の精密測定、及び(2)短寿命核の線放出率の精密測定に用いるための、線検出器にプラスチックシンチレータを用いた-同時計測法の開発及び、それを使用した100Tcの線放出率の精密測定を行い、熱中性子吸収断面積測定の高度化を図った。2)熱中性子吸収断面積が小さい核種に対しては、巨大共鳴領域の線を用いた光吸収反応による核変換が提案されている。光吸収反応による核変換を効率的に行うためには、光吸収断面積の入射線エネルギー依存性を詳細に知る必要がある。本研究では、高分解能高エネルギー線スペクトロメータ(HHS)を用いた光吸収断面積の微細構造測定をより精密で信頼できるものとするために、精密なモンテカルロシミュレーション計算を実施し、検出器の標準線応答関数の整備を行った。
谷 啓二
日本数値流体力学会誌, 9(1), p.17 - 29, 2000/10
科学技術庁は、プロセス(基礎科学)研究、観測、計算機シミュレーションの三位一体で地球環境変動予測研究を推進するプロジェクトを平成9年度より推進している。その一環として、大気大循環シミュレーションで実効性能5TFLOPS(ピーク性能40TFLOPS)の超高速並列計算機「地球シミュレータ」を開発中である。この地球シミュレータ開発の必要性、応用のターゲット、そのために求められる計算機としての要件、ハードウェア、基本ソフトウェア、応用ソフトウェアの各概要、開発スケジュール、さらには、世界の高性能計算機開発計画における位置づけなどについて解説する。
横川 三津夫; 谷 啓二
RIST News, (30), p.24 - 30, 2000/10
宇宙開発事業団、日本原子力研究所及び海洋科学技術センターは、現在、高度な数値シミュレーションにより全地球レベルの複雑な諸現象を計算機上で忠実に再現するために必要な超高速並列計算機システム「地球シミュレータ」の開発を実施している。地球シミュレータ研究開発センターは、この開発を共同で実施するための共同事務所であり、平成10年度に現在の体制が整備された。本稿では、地球シミュレータ研究開発センターが実施している地球シミュレータ開発について紹介する。